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再発

いつものように朝が来て 今日も1日が終わります。

3年前の夏 15年間 可愛がっていた愛犬が天国へ旅立ちました。
2年前の夏 父が天国へ旅立ちました。
そして 昨年の夏を迎える前に 母が天国へ旅立ちました。
そして 私は転移性進行がんの告知を受けました。

だから夏の空は・・・照りつける太陽がどこか空しくて。切なくて。悲しくて。
けれど・・・今年の夏は、笑顔で、眩しい太陽を見上げる私でした。
つい・・・先日までは。

腹膜播種の再発です。 
腹膜内に腫瘍が散見 
一番大きなものはダグラス窩(子宮の横)にある2cmの大きさ。
そして 肝転移。
お腹が張っていたのは、がんによる腹水が多量に貯留しているためだそうです。

5/29のCTでは、これらの腫瘍は見られなかったのです。
たった2ヶ月半のあっという間に、がんが勢いづいてしまいました。
術後のCTで見つかったダグラス窩の1cm大の腫瘍が消えたのは、
2/15のCT検査。

あれから、6か月しか経っていない。

もっと元気でいたかった。
せめて、今年1年、掲げた自分の目標をやり遂げるために、元気でいたかった。

それなのに・・・。
それなのに・・・。

T先生からは・・・
ファーストラインのこの治療はもう効かなくなったから。
セカンドラインの治療をすぐにでも始めたいけど。
ただ・・・セカンドラインの治療も、おそらく・・・ファーストラインより、
長くは続けられない。
そして・・・次の治療は?と言われると・・・今は手立てがない・・・。
今までの話から、副作用のこともあって、受け入れられないと思うけど、
できるだけ早く治療した方がいいから。少し、考えてほしい。
遅くなってからでは、治療してあげたくても、できなくなるかもしれないから。

今年の夏は、ずっと、笑顔で元気に あの太陽を見上げていたかった。

涙で 希望の光が・・・願いの光が 滲みます。
けれど・・・光は消えていないから。

きっと きっと もう一度 光は見つかるはず。


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新薬情報 レゴラフェニブ

今年6月の世界中から3万人ものがん領域の専門家が集まり、最新の治療成果が
発表される米国臨床腫瘍学会(ASCO)でのトピックス情報の中で、大腸がんの
分野で注目されたのは、経口マルチキナーゼ阻害剤レゴラフェニブ。

レゴラフェニブは、標準治療の後に進行した転移性大腸がんに対し、全生存期間や
無憎悪生存期間を有意に改善したことが明らかになったそうです。
レゴラフェニブは、日本の患者さんも参加した臨床試験で、良い結果を出し、
期待が集まっています。

米国でも急ピッチで承認申請が進められており、日本では、来年中には
使えるようになりそうとのこと。
また、レゴラフェニブのベネフィットは、KRASの変異の有無を問わず、
野生型および変異型いずれの部分集団においても示されました。

CORRECT試験の結果について  バイエル薬品HPより

CORRECT試験では、標準治療後に病勢進行した転移性大腸癌(mCRC)の
患者さん760名が、BSC下のレゴラフェニブ投与群とBSC下のプラセボ投与群に
2対1の割合で無作為に割り付けられました。

治療は、BSC下で、レゴラフェニブ 160 mgもしくは同量のプラセボを
1日1回3週間投与した後、1週間休薬するサイクルで行われました。

本試験の主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間
(PFS)抗腫瘍効果(奏効率)(objective tumor response rate)、
病勢コントロール率(DCR)などでした。

2群間の安全性と忍容性の比較評価も行われました。本試験における有効性
および安全性のデータは、2012年1月に開催された米国臨床腫瘍学会の
消化器癌シンポジウム(ASCO-GI)で初めて発表されました。

また今回のASCOでは、KRAS変異型の患者さんにおけるデータを含む
部分集団解析の新たなデータが発表されました。

KRAS部分集団解析では以下の結果(レゴラフェニブ群 vs プラセボ群)
が得られました。

・ KRAS野生型: OS中央値 7.3カ月 vs. 5.0カ月(HR=0.65)
PFS中央値 2.0カ月 vs. 1.8カ月(HR=0.48)
・ KRAS変異型: OS中央値 6.2カ月 vs. 5.1カ月(HR=0.87)
PFS中央値 1.9カ月 vs. 1.7カ月(HR=0.53)

KRASはmCRCにおいて重要なバイオマーカーです。
大腸癌の約40%がKRAS遺伝子の変異を持つとされており、KRASに変異が
あると、抗EGFR療法の効果が期待できないとされています。
KRAS変異の有無にかかわらず作用する治療薬は、大腸癌治療を前進させ、
重要なアンメット・メディカル・ニーズに応えるものです。

本試験において、新たな、または予測外の安全性の知見は認められませんでした。
試験治療期間中にプラセボ群と比較して、レゴラフェニブ群において頻度が高かった
(患者さんの少なくとも10%に発現した)薬剤に関連する有害事象は次のとおりでした。

倦怠感(47.4% vs. 28.1 %)、手足皮膚反応(46.6% vs. 7.5%)、
下痢(33.8% vs. 8.3%)、食欲不振(30.4% vs. 15.4%)、
変声(29.4% vs. 5.5%)、高血圧(27.8% vs. 5.9%)、
口腔粘膜炎(27.2% vs. 3.6%)、発疹/落屑(26.0% vs. 4.0%)、
吐き気(14.4% vs. 11.1%)、体重減少(13.8% vs. 2.4%)、
血小板減少症(12.6% vs. 2.0%)、出血(11.4% vs. 2.8%)、
発熱(10.4% vs.2.8%)。

その他 レゴラフェニブに関する情報
レゴラフェニブが転移性大腸がん患者の生存を改善
(がんサポート情報センター 2012/4)

また、アバスチンの継続投与で、生存期間が延長することも第3相試験で
明らかになっています。

これは、初回治療でアバスチン+化学療法を行った患者さんに対して、
2次治療として、アバスチンと1次治療とは別の化学療法を行うことでも、
生存期間での延長が認められたとういこと。

つまり、がんは時間とともに抗がん剤に対して、耐性を生じて効かなくなって
きますが、この試験の結果は、アバスチンのような血管新生阻害剤に対しては
耐性を生じないことを示しています。
2次治療で、抗がん剤を変更しても、アバスチンを継続投与できるという
選択肢もあるわけです。

1年前に、がん告知を受け、抗がん剤治療を受けることを頑なに拒んでいた私に、
T先生は言いました。

「治療を続けて延命していけば・・・2年経てば・・・新薬が登場する可能性も高い。
治療をすることは、価値があると思う。やってみませんか?」

そして・・・T先生が独り言のように言われた言葉。
「きっと・・・いいようになるよ。」

T先生がおっしゃった通り、本当に、2年経てば、こうした新薬が承認され、
治療の選択肢が増えることが期待できるのは、患者にとっては希望の光。

告知を受けた時は、「そんなに簡単に新薬なんて登場するはずない。」と、
先生の言葉を信じなかった私。
けれど、今は「治療を受ける価値がある」と言った先生の言葉の意味を
実感しています。

生きていく中で
迷っていても、前には進まない。
考えていても、答えは出ない。
何が良くて 何が悪いか なんてわからない。

そんな時は
一歩踏み出して やってみよう。
やってみて 上手くいかなければ 他の方法を見つけよう。
過去を悔いるのではなく 今を笑顔で生きていこう。

がんとともに生きているみなさん そして、その患者さんを支えるみなさん
頑張りすぎずに でも 諦めないで 明日への希望を持って一緒に生きましょう。

人はひとりでは生きていけないように 夢や希望もひとりでは叶えられない。
みんなの力をあわせていければ・・・きっと希望の光は輝く。

ゼローダ再開

2週間のプレゼント休薬期間も終わりました。

手足の赤い腫れはかなり良く、ヒリヒリ感やテカテカ感も
治まりました。
この2週間、からだのだるさも軽くなり、体調もやはり良かったです。

EXILE TRIBE LIVE TOUR 2012(なんと4時間30分ライブ!!
)にも2回行きましたよ~。
どちらアリーナ席で、4時間30分のアンコールの最後まで、立ちっぱなしで、
フラッグを振り、歌い踊り続けて、最高でした!!
EXILEライブパワーは、何よりの処方薬。免疫力増強!!!

そして、16日は職員さんの結婚式にお招きいただきました。
とても、しあわせな時間をともに過ごさせて頂き、おふたりの穏やかな
優しい笑顔に魅せられてしまいました。私まで、しあわせだな~と、
心が温かくなりほんわかしてしまいました。

そばに愛する人がいる って、本当に幸せなことです。
「愛する」・・・
私にとって「愛する」とは・・・
大切にしたいその人の幸せを願うこと
そして、その人の幸せのために尽くしていくこと

大切にしたい 大切にしてくれる その人と 人生をともにする。
いつも お互いを見つめ合い 幸せに向かって 同じ道を見つめて
歩んでいく。
どんな時も 手を取り合って しっかり大地を踏みしめて 
歩まれることを お祈りします。
Gさん&Aさん お幸せに!
私も、そろそろ婚活しようかなぁ。。。

さて、今日から、13クール再開です。
久しぶりのゼローダ薬、何となく懐かしい(笑)です。

T先生からは・・・
これからもひどくなったら、こうして休薬を調整していけばいいからね。
今回も、無理して続けなくても、いかんと思ったら、自分でやめていいし。
酷くなってからでは、治りも遅くなるから、長く休薬しないといけなくなるし、
治療は続けたいから、上手くやっていきましょう。

「がんサポート7月号」では、「副作用はこう緩和する」特集でした。
その中で、「手足症候群」のセルフケアについても記してありましたが、
やはり、日常生活に制限を受けるグレード(グレード2)になったら、
休薬検討の時期とあります。

頑張って飲み続ける患者さんも多いと思いますが、それよりもむしろ積極的に
休薬する方が、治療を中止することが少なく、がんの治療効果が高まります。
ゼローダの場合、休薬によって治療効果が下がることはないそうです。
グレード3(日常生活を維持できない)に進行させないことが大切で、
休薬して副作用の症状が治りが早まれば、予定通りの投与を再開でき、
治療計画を守りやすくなるわけです。

そのためにも、日常生活でのセルフケアをしっかりしていかなくちゃね。

参考までに、手足症候群に関してのセルフケアのポイントは以下です。
「がんサポート7月号」特集「副作用はこう緩和する」より

1.手足への刺激を避ける
・ジョギングや長時間の歩行は、足の裏に負担がかかるので控える。
・締め付けが強い衣類や靴下、靴など圧迫するものは避け、
ゆったりしたものにする
2.皮膚を守る
・石鹸や化粧品は、刺激の少ない弱酸性のものを使う
・保湿剤を塗った後は手袋や靴下で皮膚を保護する
・水仕事やガーデニングなど土を触れる際には、手袋をする
3.温め過ぎをさける
・血行が良くなると、薬剤が手足や爪に行き渡り、症状が悪化することが
あるので、長時間の入浴や炊事やシャワーの時には熱い湯に注意
4.日焼けを避ける
・外出時は帽子や日傘を。日焼け止めのクリームは刺激の少ないものにする

この特集記事によると、痛みの強い時は、冷却すると効果的だそうです。
とにかく保湿が大切で、水仕事や手洗いの度に保湿剤を塗ること。
また、グレード2に進んだ場合(痛みのある皮膚の赤み・腫れ・爪の変形や
脱落など)は、ステロイド外用薬が処方されますが、塗る時は、
“たっぷり”塗り込むこと。
ステロイド薬というと、なんとなく警戒して少なめにしてしまうのですが、
正しい量をきっちり塗れば、それだけ効くということ。

ちなみに、私は「フルメタ軟膏:合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)で、
炎症による皮膚のかゆみ、赤み、はれなどの症状を改善する」を処方して頂き、
指先から第1関節くらいまで、チューブからだしてたっぷり塗り込みましたが
あまり改善しませんでした。

T先生に伝えると・・・
「うーん、軟膏は気休めみたいなところもあるしね。頻回には塗れないしね。
まぁ、副作用が出るということは、薬が効いているってことだし。」と。

まっ・・・今回の休薬でかなり良くなったので、しばらく様子見する
ことにしました。
それよりも、右手中指の関節痛と同じく右手首の関節の痛みのため、
かなり右手の動きに制限があります。からだ全体にもこわばりがあるので、
先週、整形外科を受診しましたが、リュウマチの疑いあり?で検査を受けました。

明日、結果を聞きに行こうと思いますが・・・とっても不安です。
ふぅ~ ちょっと ため息交じり。

でも!どんなことがあっても、前を向いていきます。
まだまだ やりたいこと いっぱいありますから。


9クール目 エルプラット休薬

今日は、春風がとても冷たい1日でした。

青い空の白い雲は、何かに向かって行き急ぐように・・・
流れていきます。

その雲を見つめて私はつぶやきます。
「何だか・・・今の私みたい」と。

今日からの9クール目の治療は、T先生と相談した結果、厄介者の
プラチナ製剤は休薬になりました。

点滴時間も、エルプラットの投薬が2時間だったので、カイトリル・デカドロン
(制吐薬)の投与30分とアバスチン投与30分の1時間で終わり。

エルプラット点滴がないので血管痛も全くなし!

今のところ、急性症状の寒冷による手足の痺れやのどの違和感や
締めつけ感もない。

吐き気も全くなーい!

点滴後のBefor-Afterで副作用は感じられず。

こんなに楽でいいの? 楽すぎますよぉ~(笑)って感じです。

楽すぎて、服薬期間であることを忘れかけ、いつも服用している
パントシン散(整腸薬)ビドキサール錠10mg(ビタミン剤)は
夕食後服用したものの、ゼローダ錠を服用するのを忘れていました!

(ちなみに、朝食後は、タケプロンOD錠15(消化器官系剤:食物の逆流を予防)
1錠/日も服用)

もちろん、医療費もエルプラット分40,000円ほど少なくなりました。


だけど・・・今日、先生と話をし終えて、診察室から出た途端・・・
涙が流れ止まらなくなってしまいました。

「何で涙が流れるの?これは何の涙なの?」自分に問いかけても
答えが見つからない。

ただただ、涙がボロボロと流れます。

化学療法室に行く前に落ち着こうと、コーヒーを買って、外来のソファに
座ってみるけれど、涙は溢れるばかり。

止まらない。目の前が滲んで見えなくなる。

結局、涙を零しながら、化学療法室へ。
点滴受けながら、30分くらい泣き続け、少し看護師さんと話をしているうちに、
落ち着きました。

今日の外来診察で、T先生に、今後の化学療法についての
私の希望を伝えました。

仕事への復帰を前提として、
第1は XELOX+アバスチン療法そのものの中止
第2は ゼローダの経口服用のみの治療(エルプラット+アバスチンの休薬
そして第3 エルプラットのみの休薬(休薬期間は今まで通り1~2週間で調整)
を相談しました。

そして、今のファーストラインの治療が効かなくなっても、これ以上、
副作用の強いセカンドラインの治療は望みません。
私は、今のQOLを維持して、自分がやりたいことができる生き方を選びます。
と伝えました。

T先生は、私の目を静かに見つめながら、黙ってその言葉を受けとめてくれて、
言われました。

セカンドラインの治療については、調べているとは思うけど?
(私が頷くのを待ってから)セカンドラインに使うアービタックスや
ベクティビックスの分子標的薬はかなりの効果があることが分かってる。

この薬は、受けられない人もいる。
あなたは、この治療をうけることができる。もったいない気もするけど・・・。

だたね、この薬と一緒に使うことになるイリノテカン(「IFL」や「FOLFIRI」療法)は、
かなり脱毛の副作用があるからね。
3回目くらいで、ごっそり抜けてしまう人が多い。
どう考えとるのかなぁと思って。

私は答えました。
「今の答えとしては、もうこれ以上の化学療法は受けません。」

抗がん剤は、がんの耐性により、必ず、効かなくなくなる時がきます。

だからこそ、セカンドライン、サードラインがレジメンとして標準化されているのです。
つまり、セカンドライン以降の治療を受けないということは、標準治療では、
なす術がなくなるということ。

もちろん、免疫療法や代替療法の選択はありますけど、T先生の立場としては、
標準治療ができない患者の最期のケアとして、何ができるかということになります。

「治したい。治療してあげたい。でも、できない。」そんなジレンマに
見舞われるのでしょう。

T先生は、小さな呼吸をして、私の目をしっかり見つめて言われました。
ひとつひとつ言葉を選んで話されていることがよくわかります。

セカンドラインを受けてもらえないことは、医者としては何もすることが
できなくて、辛いことだけど・・・。

あなたは、もし、がんの耐性が強くなって治療が続けられなくなったら、
その後はどうしていくの?
ひとりで暮らしているんだったよね?
その後の生活のイメージを、どのように考えているのかを聞いておきたいんだけど。

私は少し間をおいて、笑顔で言いました。
在宅でできるところまでいって、その後は・・・ここでの緩和ケアか
ホスピスを探します。

T先生の経験からすれば、やはり私の再発転移は避けられないのでしょう。
そして、きっと思われたことでしょう。
患者本人が、このファーストラインしか望まないのであれば、
できるだけ細く長くこの治療を続けていくしかない。

そして、ゆっくりと言われました。

在宅にしても、ここで治療を受けることもあると思う。栄養のための
ポート留置とか、痛みのコントロールとかね。できることはあるから。

まずは、もうエルプラットはやめた方がいいと思うから、休薬してみようか。

副作用も“かなり”“かなり”楽になるから。

再開については、僕の経験上、再開をしたいという患者さんは・・・
正直な話、あまりいない。
やっぱり、また、副作用で辛いことになるのはわかっとるから。

まぁ、がんの耐性にもよるしね。また、その時に考えましょう。

私 「私 きっと再開しないと思います・・・」
T先生 「うん。そうだろうね・・・」と優しく私を見守るように見つめて下さる。

けれど、先生が何かに戸惑い躊躇い困っているような・・・気がしました。
今後の治療方針をどうしたらいいのかと思われたのか?
私にどんな言葉をかけたらいいのかと思われたのか?

そんなT先生の顔を見つめながら・・・私は心の中で呟きます。

先生も困っているよね。こんなわがままな患者でごめんなさい。
ひとつひとつ私の言葉を聴いて受けとめてくれて ありがとう。

でもね・・・本当に困っているのは この私なのですよ。
私 自分の最期を自分で決めなきゃいけない時が来るかもしれないんですよ。

こんなに元気なのに・・・
私は、そう遠くない未来にやって来るかもしれない自分の最期をどう迎えるか・・・
それを・・・覚悟して、決意しておかないといけないのです。
そう思ったら、急に涙が出てきました。

確かに、誰にでも最期の時は訪れます。
ただ・・・私は、それがより現実的なのです。

あの空を行き急ぐ雲のような・・・そんな人生が切なかった。

オキサリプラチンのSTOP&GO

8クール目7日目ですが、やはり、「胸やけ以上吐き気未満」状態が
治まらず・・・です。
また、常温水はかろうじて飲めるようになりましたが、
何を食べても「まずい」。

口の中がいつも苦い感じで、美味しくないのです。

大きな甘いイチゴも、一口目だけほんのり甘いのですが、
2口目は何とも言えずまずい。
胸やけのような感じもあり、何かすっきりしたいと思い、
口にしてみるのですが、味覚が感じられず。

先回から、オキサリプラチン点滴時の血管痛の緩和のために、デカドロンを
投与して、ph調整していますが・・・どうも、このデカドロンの副作用で、
吐き気と下痢が誘発されている?
確かに、吐き気が、先回は点滴後2時間くらいから、今回は点滴中に
起こるようになり、下痢もひどくなりました。
(それまでは、吐き気は2日目からだったのですけどね。)

デカドロンとは、いわゆるステロイド薬です。炎症をしずめたり、
免疫系をおさえる作用があります。
炎症性の病気、免疫系の病気、アレルギー性の病気などに広く使用され、
化学療法の制吐剤としての効果は、世界の標準治療になっています。

そのため、オキサリプラチン点滴の前の制吐剤として投与し、さらに、
オキサリプラチン点滴時にも投与しています。

ステロイド薬の副作用は、服用量や服用期間によって違います。
飲み始めに多いのは、いらいら感、不眠、消化不良、下痢、吐き気、
食欲増進などです。
服用が長めになると、にきび、むくみ、生理不順なども起こるそうです。

長期服用で特異なのが、脂肪の異常沈着です。
多めの量を続けると、かなりの頻度で生じます。
ムーンフェイスといって顔がふっくらしたり、肩やおなかが太る症状です。
(ただ、これは減量すれば治るそうです。)

ん?体脂肪が増えたのはこのせい?(苦笑)

血管痛こともあり、T先生から、「実はどうしようかと思って・・・」と、
オキサリプラチンの休薬についての話がありました。

おそらく、CT検査の結果もよかったこともあると思います。

「一旦、半年くらいオキサリプラチンを休薬して、また再開するってこともできるけど。」
「実績として、6~8回投与後に半年間の休薬をして再開しても、
治療の効果としてはあまり悪くならないこともわかっているしね。」
と言うことでした。

確かに、血管痛は辛いけれど、2時間耐えていれば・・・なんとかなる。
血管痛はあるものの、手足の痺れは、まだそれほどでもない。
寒冷による誘発さえ、対症していれば回復期には元に戻るし・・・。
治療の効果も出てきるので、今、休薬したら、効果が下がるのでは・・・。
それに、一旦、休薬したら・・・再開するタイミングってどうなる?

結局、答えは出せないまま、今回は投与してもらいましたが・・・。

抗がん剤治療においては、QOLを保ちながらできるだけ生存期間を
延ばすためには、使える抗がん剤を上手に使っていくことが重要です。

より高い抗腫瘍効果に主眼が置かれ、より多くの抗がん剤を併用し、
治療も休みなく続けられると、その結果、毒性は強くなり、医療費も高くなります。

治療の選択肢として、併用療法だけでなく、逐次療法、Stop & Go、
Chemotherapy holidaysにより、毒性をコントロールしながら化学療法期間を
長くすることも、患者として、考えていく必要があると思います。

【抗がん剤の治療継続期間】
従来の方法:病勢の増悪か許容できない毒性出現まで継続
―――――――――――――――>
新たな選択肢1:一定期間で中止,増悪で再開(Stop & Go)
--------->       ---------->
新たな選択肢2:間欠的投与(on-off strategy)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - >
新たな選択肢3:維持療法:一部の薬剤投与を中止
=====================--------->

つまり、許容できない毒性の出現まで治療を継続するのではなく、Stop & Go、
間欠的投与、維持療法などで、毒性が許容できなくなる前に化学療法を、
一旦中止してChemotherapy holidaysを設けたり、抗癌剤の数を減らして
毒性の軽減を図るということです。

有効性はいくつかのがんで証明されており、抗がん剤が良く効くがん腫は
Chemotherapy holidaysが可能で、乳がんや卵巣がんでは一定のコース
終了後、休薬する方が一般的だそうです。

大腸がんも、Stop & Go については、OPTIMOX-2 試験(オキサリプラチンや
すべての治療の休薬効果の試験)が有名で、OPTIMOX-2 試験では
PFS(無増悪生存期間:がんが成長を止め、再び成長をはじめるまでの期間)
などはnegativeですが、OS(総生存期間)に有意差はないという
結果もあります。

もちろん、全例には当てはまりませんが、Stop & Goで十分な治療で
ある場合もあるということですね。

病勢をコントロールしながらStop & Go、間欠的投与、維持療法を行うことは、
副作用も少なくなりますし、ダメージのは回復にもつながります。

ただし、当然ながら、再治療のタイミングを逃してはいけないし、
そのタイミングをどこにするかも難しい判断だと思います。

次の投薬までに、仕事への復帰も踏まえて考えてみます。

参考サイト「消化器癌治療の広場

夢という字

7クール目 11日目 ほとんど日常生活に戻っています。

今日は、実家にあった段飾りのお雛様を施設に運び、飾りました。

もう、実家に飾ることもないので、利用者のみなさんや職員にお雛様を
楽しんで頂けたらと思い、寄贈しました。

このお雛様は、母が元気だった頃、いつも母が飾ってくれていました。
そして、母は、飾り終えたお雛様を優しい笑顔でずっと見ていました。
ふと・・・お雛様のお顔が母の顔に見えて、涙が流れてしまいました。

さて、節分も終わり、昨日4日は『立春』
立春は、冬至と春分の間の2月4日頃にあたります。また、この日から雨水
(うすい:温かさに雪が雨にかわり、氷がとけ始める頃。2月19日頃)までの
期間を立春と呼ぶこともあります。

立春は冬と春の分かれる節目の日である「節分」の翌日で
「寒さがあけて春に入る日」いわば春の初日で、暦の上では、もう春ですね。

春と言えば・・・やはり、卒業や入学、進学、就職など、何かしら新しい夢を
持って、事が始まる感じがします。

夢という字の語源
「夢」という漢字の部首は草冠ではなく、夕方の「夕」、これが
夢の部首だということです。
これは、夢の語源に大きく関係しています。実は、草冠ではなく
上の部分は“羊の角と目”を表しています。
それに夕方の明るさ(夕)にかぶせ物(冖)を組み合わせた字が
“夢”という形の成り立ちです。

“夢”とは、人が心の中に思い描いている願いや、まだ現実になっていないものを
言うことが多いですよね。
つまり「夢」とは、見えそうで見えないぼやっとしている様子、
現実のものと思えないことを意味しています。

羊の目は細く瞳孔は横向きで焦点を定めるのが難しいといわれています。
その目に、夕方のぼっとした明るさに更に被せものをしている様子を
組み合わせて、現実ではないはっきりとしない様子を強調させているのです。

なんとなく夢のない話になってしまいましたが・・・

文字職人 杉浦誠司さんの夢という字への思い から

『夢』っていう字は、草むらにこう寝っころがって夕日を見ているのよ。
ところがね、夕日の前にはモヤがかかっている。
夢の前にはモヤがかかっていて、絶対に夢は叶わないだとか、
夢って一筋縄にはいかないんだとか、そう思っている人も
居るんだけれども。
でもそのモヤがはけて、その夕日がクリアに見えた時、
夢は絶対に叶うんだっていう信念を持って突っ走れる。

なんだかとても素敵な話です。

そして、彼のHPをみると・・・
yume1.jpg
「夢」という字は、「ありがとう」の意なのかもしれませんね。

また、夢という字が「草」を意味するとして、確かに草は
枯れてしまうかもしれません。
でも、草というのは根があれば再び伸びてきます。
ひとつの夢が枯れても、夢の根を腐らせてはいけないのですね。

緩和ケアについて、少し補足です。

以下、がん情報サービス より抜粋

緩和ケア外来

緩和ケア外来は、通院中の患者さんに対して、院内の緩和ケアチームが行う外来です。
入院中に緩和ケアチームの診療を受けていた患者さんも、退院後
引き続き緩和ケア外来で診療を行います。

がんの治療が一段落しても、痛みやだるさが残ったり、病状の変化や生活について
不安が生じることもあります。
緩和ケア外来を定期的にあるいは必要に応じて受診することで、
こうした苦痛を軽減できます。
また緩和ケア外来を行う医療スタッフが、地域の診療所や訪問看護ステーションと
連携して、自宅での緩和ケアを支援する場合もあります。

・緩和ケアチームの費用
厚生労働省から認可を受けた緩和ケアチームによる診療を受ける場合には、
入院にかかわる医療費などに加えて、「緩和ケア診療加算」として
定額の費用がかかります。

緩和ケア診療加算の費用は1日あたり2,500円×健康保険の自己負担率です。
例えば3割負担の場合には、1日あたり2,500円×0.3=750円が
医療費に加算されます。

1ヵ月の医療費の合計が一定額以上になる場合には、高額医療費制度を使用して
自己負担限度額を超えた部分の払い戻しを受けることができます。

緩和ケア病棟(ホスピス)

緩和ケア病棟と一般の病棟の違いには以下のようなものがあります。
(1)体と心の苦痛緩和に力を注ぐ
病棟で担当する医師や看護師は痛みや呼吸困難など、さまざまな苦痛を
和らげる方法の知識や技術に精通しています。
また、患者さんや家族の心の問題についても時間をかけて対応が行われます。
(2)苦痛を伴う検査や処置を少なくしている
点滴や注射などの処置や検査は、つらい症状を和らげるために必要最小限に
するように配慮されます。
医学的な必要性ばかりを優先するのではなく、患者さんや家族と相談しながら行います。
(3)患者さんや家族がくつろげるデイルームがある
多くの緩和ケア病棟には、季節の行事や音楽を楽しんだり、面会の方と
くつろげるデイルームがあります。
ベッドからの移動が難しい患者さんの場合でも、病棟の医師やスタッフが
協力して、少しでも日常生活の中での楽しみや、変化を感じられるように工夫しています。
(4)面会時間の制限が少ない
家族や大切な方々が面会できるように、面会時間の制限がない施設が多くあります。
ペットと面会できる施設もあります。
(5)患者さんの家族が過ごしやすい設備がある
病室は個室が多く、家族が患者さんのそばで宿泊できるソファーベッドなどを
備えている施設があります。
また、家族が休息するための家族室、患者さんや家族のために簡単な
料理ができるキッチン、家族が入浴できる設備がある施設もあります。

・ホスピス・緩和ケア病棟の費用
厚生労働省から「緩和ケア病棟」として承認を受けた施設の場合
、医療費は定額制になっています。

「緩和ケア病棟入院料」は1日あたり37,800円×健康保険の自己負担率です。
例えば3割負担の場合に支払う医療費は、1日あたり37,800円×0.3=11,340円となります。
1ヵ月に支払う医療費の合計が一定額以上になる場合には、高額医療費制度を利用して
自己負担限度額を超えた部分の払い戻しを受けることができます。

『緩和ケアにおける診療報酬で国も後押し』(東京新聞 2012.1.17)
 2007年施行の「がん対策基本法」で、緩和ケアは「早期から適切に行う」と明記された。
 国は、緩和ケアの研修を受けた医師が、看護師と治療方針などを患者に
丁寧に説明した場合に支払われる「がん患者カウンセリング料」(一回5000円)を
10年に新設するなど、診療報酬でも実現を後押しする。

 静岡がんセンター総長の山口建さんは、報酬を評価しつつも、カウンセリング料が
患者一人一回に限られることを改善点に挙げる。

「がんの再発や専門の緩和ケアを始めるときなど、患者が不安を感じる節目ごとに、
患者と心の通う対話が必要」と、患者の心をケアするカウンセリングの効果を
もっと評価するよう求めている。

 厚労省は、専門的な緩和ケア外来を受ける患者数が「十分ではない」と
認識しており、4月の報酬改定では、緩和ケア外来への報酬を新たに設ける方針だ。


抗がん剤 新薬情報

7クール目 7日目
ようやく薬が抜け始めました。
先回同様、5日目までは、吐き気と倦怠感、頭痛で終日寝込んでました。
昨日は、夕方までは比較的回復傾向で、夕食後、また吐き気が強くなり・・・。
副作用にも、慣れてきた感じです。

抗がん剤の新薬情報がいろいろと出ています。
これらの情報から、抗がん剤の選択肢が増えていること、そして、患者の生活の質を
高めることに重点がおかれてきていることがわかります。

初めてT先生から、がんの告知を受けた時「2年頑張れば、新薬が出て
治るかもしれない。大腸がんの抗がん剤はここ数年かなり進歩しているから」
そう言われました。

その時は・・・そんな都合よく新薬が出てくるものかしらぁ。
それに、それまで、私のからだと心がもつのかしら・・・
と思ったものですが。

最近、副作用が軽くなって嬉しいのですけど、その反面、不安にもあります。
副作用がひどいほど、抗がん剤が効いている ということもあるそうです。
つまり、副作用が軽くなったということは、抗がん剤が効かなくなった???

今日の外来で、T先生に尋ねてみました。
「副作用が軽くなったのはいいこと。副作用にも慣れてくるし、
 不安もなくなっていくから。」

「慣れる?」

「そう、からだが抗がん剤にも慣れてくるから。最初は、相手が何者か
 わからず、びっくりしとるけど。それに、慣れてくると、不安も
 無くなっていくから、楽に感じられると思う。」

「ふ~ん。なるほどです。」

「副作用がなくても、治療の効果が出ている患者さんもいる。
(私の手をみて)手の荒れもなくきれいだし。副作用の程度から
 治療効果を測ることはできない。治療効果がわかるのは、CTなどの
 画像検査だからね。次回までに、一度、CT撮っておきましょうか?」

「はい。そうしてください。」

がんの告知を受けてから、抗がん剤の治療を始めるまで、がんの基礎知識、
代替治療、食事療法、がんからの生還者の方の体験などの本をかなり読みました。
読み過ぎて?情報過多になり、脳が飽和状態になりました。(笑)

何を信じていいか わからなくなり、結局は、がんは千差万別。
何が効くかは わからない。やってみないとわからない。

結局、心に決めたことは

『標準治療にすがらない。』
『代替療法や最先端治療にも期待しすぎない。』
『5年生生存率も余命宣告も信じない。』
『主治医にお任せしない。自分自身も主治医。』
『情報に惑わされない。
   情報取集は自分なりのガイドラインを持つ。』
『がんになった生活習慣を変える。』
『自分で価値があると思うことは、やってみる。』
『毎日、明るく笑って過ごす。』
『病気になっても病人にはならない。』


ちょっと今一度自分自身に宣言するために、強調してみました。(笑)

以下、最近の情報を日経メディカルオンラインより抜粋

2012. 1. 23
経口マルチキナーゼ阻害剤regorafenibは標準的治療が無効の転移性大腸癌の生存を改善

標準的治療の後に進行した転移性大腸癌に対し、経口マルチキナーゼ阻害剤
regorafenib (BAY 73-4506)はプラセボに比べ有意に生存を改善したことが、
日本を含む16カ国で実施された多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ3試験
CORRECTの中間解析で明らかになった。

2011. 11. 4
TAS-102は標準治療が無効な切除不能進行大腸癌のKRAS変異型でOSを有意に改善

新規経口ヌクレオシド製剤TAS-102は、標準的な化学療法が無効な
切除不能進行大腸癌で、KRAS変異型の患者では生存期間を有意に延長させることが、
フェーズ2試験(10040030)のKRAS遺伝子による層別解析で明らかになった。
一方、KRAS野生型患者では有意な延長は示されなかった。

2011. 10. 28
切除不能大腸癌でIRIS+ベバシズマブの安全性と有効性はFOLFIRI+ベバシズマブとほぼ同等

切除不能結腸・直腸癌に対する一次、二次化学療法として、mFOLFIRI+ベバシズマブと
IRIS(S-1、イリノテカン)+ベバシズマブはともに安全かつ有効で、
IRIS+ベバシズマブの方がやや無増悪生存期間(PFS)は良い傾向のあることが、
東北臨床腫瘍研究会による安全性確認試験で明らかになった。

2012. 1. 25
一次治療でオキサリプラチンをベースにした化学療法を受けた大腸癌患者ではERCC1とDPDの発現が高い

切除不能大腸癌に対するイリノテカンによる一次治療を受けていない症例の
二次治療として、経口剤を用いたIRIS療法とFOLFIRI療法を比較する第Ⅲ相試験である
FIRIS試験が行われた。この試験の結果、IRIS療法がFOLFIRI療法に非劣性で
あることが証明された。また、サブセット解析の結果、オキサリプラチンによる
前治療歴がある集団では、IRIS療法の方が有意に良い効果を示すことが明らかになった。

2011. 11. 2
進行・再発大腸癌に対するベバシズマブ併用mFOLFOX7療法はオキサリプラチンを間欠投与しても有効で忍容性が高い

進行・再発大腸癌に対するベバシズマブ(アバスチン)を併用した
mFOLFOX7療法+オキサリプラチン間欠投与は、FOLFOX+ベバシズマブを
増悪まで継続投与したこれまでの臨床試験と同様の有用性が確認された。

2011. 11. 2
進行・再発大腸癌に対するベバシズマブ併用mFOLFOX6療法はオキサリプラチン間欠投与しても一次治療期間を延長させてOSを延長させる

進行・再発大腸癌に対する一次治療として、神経障害の軽減を目的にして
オキサリプラチンを中断、再開したmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法は、
海外での臨床試験OPTIMOX1で示されている病勢制御率、オキサリプラチンの
再導入率よりも良好で、日本人において全生存期間を延長させる治療法で
あることが示唆された。

2012. 1. 24
大腸癌の二次治療でFOLFIRI+パニツムマブ(ベクティビックス)はPFSと奏効率を改善、皮膚毒性発現が生存期間延長の鍵

転移を有するKRAS野生型の大腸癌患者のセカンドライン治療として、
FOLFIRIとパニツムマブの併用を検討した無作為化フェーズ3試験「181試験」の
最終結果から、無増悪生存期間(PFS)と奏効率が有意に改善し、さらに
グレード2~4の皮膚毒性が発現した患者のPFSとOSは、同グレードが
0~1の患者と比較して有意に延長したことが明らかになった。


緩和ケア

休薬期も今日で終わり。
抗がん剤治療を始めてから、5か月が過ぎ、明日から、7クール目。
思ったよりも、続けられている(笑)

さて、『緩和ケア』と聞くと、終末期に、もう治療の術もなく、
あとに残された時間を過ごすためだけのケアと思っている方が多いのですが、
実は『緩和ケア』というのは、がんの早期治療から始まっているものなのです。

つまり、がんに伴うからだと心の痛みを和らげ、生活上の支障を
可能な限り取り除き、日常生活やその人らしさを大切にする考え方から
行われる治療が緩和するケアなのです。

WHO(世界保健機関)による緩和ケアの定義(2002年)
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に
対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を
早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、
苦しみを予防し、和らげることで、クオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を
改善するアプローチである。

がん情報サービス
http://ganjoho.jp/public/support/relaxation/palliative_care.html

緩和ケアを、がんの進行した患者に対するケアと誤解し「まだ緩和ケアを受ける
時期ではない」と思い込んでしまう患者さんや家族は少なくないでしょう。
実際に、私もがんになるまでは、緩和ケアとは、最期の治療と思っていました。

がん治療には、多くの場合、痛みや吐き気、倦怠感など身体的に
辛い副作用があります。
また、ひどく落ち込んだり、苛立ったり、落ち着かなかったり、眠れないと
いった精神的な不安を伴うこともあるでしょう。

そして、がんそのものの痛みもあります。
痛みが強いままではがんの治療もつらく、また生活への影響も大きくなってしまいます。
だからこそ、痛みや吐き気、食欲不振、だるさ、気分の落ち込み、孤独感などに
対して適切な治療やケアを受けることは、生活を守り、自分らしさを
保つことにつながります。

緩和ケアは、最期の治療ではなく、治療の早期の段階から受けることが
できるものなのです。
kanwa.jpg
実際に、早い段階から緩和ケアを受けた患者の生存率は高くなっているそうです。
痛みや生活の支障が少しでも緩和されれば、治療に対する意欲もわいてきます。

具体的な緩和ケアとは
【1】自分の病気を知り、治療法の選択を助ける支援
【2】がん痛み、副作用などのつらい症状を取り除くケア
  ・ 痛みを取り除く
  ・ 痛み以外の様々な症状を取り除く
【3】日常生活を取り戻すケア
  ・ お食事を楽しむケア
  ・ 苦痛や不快感を最低限にするための排泄のケア
  ・ 夜にぐっすり眠れるようにするためのケア
  ・ 好きな姿勢をとったり、自然な体位や寝返りをうつケア
  ・ からだをきれいに保つケア
  ・ 患者さんにとって心地よい環境を提供するケア
【4】こころのふれあいを大切にし、元気になるケア
・自分の存在や生きる意味についての悩み
・不安や気分の落ち込み
【5】家族へのケア
【6】自宅でも、緩和ケアを受けられるようにする
【7】生活における側面での経済面、福祉制度、医療費の問題、
転院や自宅での在宅療養について 

緩和ケアを受けるには、主に緩和ケア病棟への入院という方法と、
緩和ケアチームによる診療という2つの方法があります。

また、がん診療連携拠点病院の指定を受けている医療機関は、
緩和ケアに対応できる機能を持っています。現在は外来診療や
在宅療養についても対応が進んでいます。

私の治療を受けている行院では、入院患者には緩和ケア病棟が、
外来・在宅治療では、緩和ケアチームが対応しています。
緩和ケアチームには、主治医や看護師、薬剤師・ソーシャルワーカー
(医療社会福祉士)だけでなく、カウンセラーや栄養士、リハビリのための
理学療法士・作業療法士も関わります。

静岡県立静岡がんセンター(同県長泉町)では緩和チームの取り組み
(東京新聞より)

「痛みで寝られない」「食べても吐いてしまう」-。
静岡がんセンターの緩和医療科の外来で、患者がさまざまな苦痛を訴える。
訪れるのは、抗がん剤や放射線による通院治療を受けている人、
緩和ケア病棟の入院待ちの人など。
がんと診断されて間もない人もいる。

診療科の主治医も必要に応じて痛み止めなどの基本的な緩和ケアを施す。
緩和医療科が担当するのは痛みの症状がひどい人、薬で痛みが減った代わりに
新たな副作用に苦しむ人など、専門的な関わりが必要な患者だ。

同科部長の大坂巌さんは「痛みで食欲が落ち、体力が低下すれば、
がんの治療に支障が出る。そうならないよう、症状が出たら早く手を打つのが、
今の緩和ケアの流れ」。

早く緩和ケアを受ければ苦痛が早く取り除かれ、生活の質が上がる。
ケアで生存期間が延びるという報告もある。

診察では、苦痛の原因を探り、対策を考える。痛み止めの薬の専門知識を生かし、
薬を最適な量に調整する。
苦痛の原因が薬の副作用なら、症状の出にくい薬に変える。

無報酬で受診後のフォローもする。副作用などが心配な患者には診察の数日後、
電話で症状を確認、必要な指示をする。受診患者からの電話相談も受ける。
診察には、心理療法士が同席。患者のストレスがひどい場合は、診察後も話を聴く。

心のケアも、緩和ケアの一環だ。

センターには緩和ケア病棟があるが、一般病棟でも、緩和ケアチームに
よる専門のケアがなされている。

緩和ケアの専門医、心をケアする腫瘍精神科医、心理療法士、看護師、
薬剤師で組織。患者の異変に看護師が気付いたら、主治医と連絡を取りつつ、
緩和ケアチームに介入を要請。
主治医に限らず、病院スタッフの誰もが要請できるようになっている。

患者の中には、医療用麻薬への拒否感で服薬を拒む人も。そんな時は、
チームの中の薬剤師の出番。
「依存性がある」などの誤解を解き、時間をかけて説明する。

抑うつ状態の患者には主に、腫瘍精神科医と心理療法士が関わる。
うつ病と判断すれば、精神科医を中心に服薬などのうつ病治療をする。
話をじっくり聴くことで、精神的な苦痛を和らげられそうなら、心理療法士が前面に出る。

むくみで足が痛む患者には、チーム外の作業療法士が足をマッサージして
症状を和らげることも。

緩和ケアに精通した専門職が、持ち味を生かして患者を支える。
大坂さんは「患者がつらいと思ったとき、すぐに効果的な対策を取ることが大事」と話している。

私も、緩和ケアとは何かを知ったことで、今後の治療や自分のがんの進行に
対しての不安が小さくなりました。

そして、治療における痛みや辛さは、些細なことでも主治医や看護師に
相談することが何よりと、あらためて痛感しました。

今後のがん治療

今日は、「日本癌学会第18回市民公開講座」に出かけてきました。

テーマ:がんとの共存から克服へ、そして未来へ
講演内容:
「効果的ながん予防」
田中 英夫(愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部 部長)
「がんの薬物療法最前線」
上田 龍三(名古屋市立大学大学院医学研究科 特任教授)
「がん幹細胞とは何か?」
佐谷 秀行(慶應義塾大学 医学部 先端医科学研究所 遺伝子制御研究部門 教授)
「がんの免疫療法研究の展望」
葛島 清隆(愛知県がんセンター研究所 腫瘍免疫学部 部長)
「天寿がん思想とその進展」
北川 知行(公益財団法人 がん研究会がん研究所 名誉所長)

内容としては、すでにいろいろな書籍から学んでいたものでした。

まずは、何より「がん予防」と「早期発見」。
2人に1人ががんになる現代です。
早期発見で、組織内がんであれば、ほぼ根治できます。

(私のように)発見が遅れ、がんが組織内からリンパや血液に浸潤してしまうと、
根治はできず、延命治療になります。

私のがんも、2年前でも発見できたものだとT先生から言われました。
確かに、2年前から健康診断で、便に潜血があり、要検査診断されていました。
でも、自覚症状も全くなく、排便時に力んだせいかなぁと思っていました。
がんは自覚症状があってからでは、もう遅いのです。
今さらですが、あの時に検査を受けていたら・・・と後悔しています。

また、今後のがん治療として、期待されるものとしては、「がん幹細胞」を
標的にする治療、そして、第4のがん治療としての免疫細胞療法のようです。

「がん幹細胞」とは、がんの大元になる細胞です。
この「がん幹細胞」が増殖して、性質の異なるがん細胞ができて集まり、
がんになります。

つまり、がんは、「がん幹細胞」と「がん幹細胞」からできた性質の異なる
がん細胞の集合体ということです。
例えると、「がん幹細胞」は女王蜂で、「がん幹細胞」からできたがん細胞は
働き蜂になります。

「がん幹細胞」には、抗がん剤に対しての抵抗性があり、抗がん剤治療は、
働き蜂のがん細胞には効きますが、女王蜂の「がん幹細胞」には効かないそうです。

つまり、がん腫瘍が小さくなっても、働き蜂の細胞が小さくなっただけで
女王蜂のがんの大元は、さらに自己増殖して、再発・転移してしまうのです。

ゆえに、この「がん幹細胞」をいかに叩くかが、今後の治療として
期待されるということでした。

免疫治療については、キラーT細胞(がんを見つけて攻撃する細胞)を
活性化するワクチン治療についてでした。

2010年、FDAでは、前立腺がんに対する樹状細胞ワクチンが、世界初の
がんワクチン治療として承認され、日本での臨床試験も加速すると
期待されていました。

実際に、米国では、512人の患者さんをランダムに2グループに分けて、
ワクチン治療を行った患者さんと行わなかった患者さんの生存中央値は、
25.8ヶ月 21.7ヶ月という結果になったそうです。
ワクチン治療を受けると、約4か月の延命ができるということ。

この4ヶ月を患者としては、どう捉えるか・・・ですけど。

無治療でがんを克服したがんサバイバーの方など、自己の免疫が働いて、
自然治癒を起こすことも実際にあります。

やはり、がん治療には、自己の免疫力をいかに高めていくかに期待したいです。

抗がん剤治療のあり方

抗がん剤治療について、受けるかどうか迷っていた時に読んだ本
「間違いだらけの抗ガン剤治療―極少量の抗ガン剤と免疫力で長生きできる。」
梅澤 充 (著) の著者のブログを時折、訪れています。

この本には、抗癌剤治療における現状への批判と、著者が行う抗癌剤治療の実際が書かれています。
梅澤先生が行う抗癌剤治療は、癌の征服よりも、癌との共存を目指す治療であり
患者の副作用を最小に抑えるために、抗がん剤の投与を最小量で行っていらっしゃるようです。

今の標準治療では、実際には抗ガン剤の量が多すぎる為に苦しい副作用に苦しみながら、
正常な細胞が死んでしまい免疫が落ち、結果的に何も治療しなかった時より
2~4ヶ月程度しか延命出来ていないという事実もあります。
延命にならないかも知れないのに、抗ガン剤で癌を縮小した、しないで一喜一憂し、
副作用に苦しむ・・・。

T先生も言われました。
「標準治療としてのガイドラインはあるけど・・・。がんを縮小することに重きが
置かれた治療をするのか、それとも、患者さんの生活や生き方を尊重した治療をするのか。
それは、医師の信念によって、大きく違ってくるから。」

出逢う医師によって、治療のあり方が違ってくる・・・。
であれば、なおさら自分としての治療にあり方をしっかりと持って
それを医師に伝えることができる患者でなければ、がんと向き合うことは難しいでしょう。

医師任せではいけない。
患者主体の医療の主人公にならないと。

この本は「ガンは増大さえしなければ、今の状態は維持出来る」という考え方で、
抗ガン剤を少量に抑え正常な細胞を殺さないようにし、薬の量を少量で調整しながら
延命を続け、人生を楽しまれている方の実例も多く、抗がん剤治療の在り方に、
私なりに違った視点を持つことができました。

どんな治療も、必ずしも、効くとは限らないのが、がんのやっかいなところ。
治療の手立てがみえなくなると、藁をもつかみたくなります。

ただ、梅澤先生の治療も、全てを鵜呑みにするのではなく、治療の選択肢として、
考えていきたいと思います。

XELOX+アバスチン治療 1クール目初日

抗がん剤治療の前に、外来で、T先生から先日の検査結果を聞きました。

がんも勢いの強いものがあるから、“とんでもないことになっていないか”
わからんで、検査してもらったわけだけど・・・。

結果としては、ちょっと膀胱と直腸の間の腹膜播種が一番こぼれやすいところに
ダグラス窩っていうところだけど、(ダグラス窩とは腹腔の最下部に位置し、
水分や血液、また腹腔内に存在する細胞などが溜まりやすいところ)
あやしいのがあるんだわ。
これなんだけど(CT画像を指して)、かなりあやしくて。
う~ん、たぶんそうだと思われるんだけど。

実は、術後からしばらくしてから、膀胱の奥あたりに、少しきゅんとした痛みが
あることがありました。
でも、長く続くものでもなく、痛みもひどくなく、あれ?また?かなって感じでした。
それをT先生に伝えると・・・

がんの刺激で痛みがあるのかもしれんね。
ひどいようだったら、痛み止めがあるから出すけど?

ううん。そんなひどくないし。大丈夫です。

ホントに“とんでもないことになっとったら”と思って心配しとったけど
まずは、抗がん剤の治療の指標として、これが小さくなるようにやってってもらって。

それと、もう一つの指標としてはマーカーがあるけど、これは誤差の範囲かな。
術後CEA 8.9 で 今回 9.6だし。
CA19-9は手術前からも、問題ないから。(<2.0)

やっぱり、“がんがある”ということで治療に向かって、頑張っていきましょう。

T先生の話は落ち着いて聞くことができました。

そっか・・・。やっぱり、あやしげなものがあるんだぁ・・・。
まっ、仕方ないか。がんが腸管から顔を出していたわけだから。
でも、抗がん剤の治療の効果が、わかりやすくなったことを思えば、
目標がはっきりしてよかったかも。

腫瘍マーカーだけでは、T先生も話されていたけど、結構、誤差の範囲の
変化しかわからないかもしれないので・・・効果がよくわからない。
腫瘍マーカーは、がんがあっても、値が上がらない人もいるし、
逆に、マーカーが下がらなくても、がんが縮小していることもあるので、
目安として、CTなどの他の画像検査結果をあわせて診断していかないといけないものだから。

その後、T先生から治療内容と副作用について、説明して頂き、化学療法室へ行きました。

1クール目初日の点滴内容:
吐き気止め30分、アバスチン1.5時間、エルプラット2時間でした。
アバスチンは、初回なので、時間をかけましたが、次回2クール目は、1時間、
3クール目以降は30分くらいということでした。

今日は初回なので、インフュージョン・リアクションが起こらないかどうかの
経過観察のために、何度も血圧測定やサチュレーション測定がありました。

インフュージョン・リアクションとは、薬剤投与後24時間以内に起こる
免疫反応の一種で、発熱や悪寒などの症状が出ます。
私は、インフュージョン・リアクションが起こることなく、終わりました。

ただ、やはり、エルプラット点滴の最中、1時間ほどしたころから、
チクチク痛みだし、腕が重だるく痺れてきました。
腕全体を温めてもらうと、少し痛みも楽にありました。
耐えられないほどのものでもなく、これくらいなら全然大丈夫です。

それと・・・まだ、冷たいものに触れてもビリビリしたりはしないのですが
恐る恐る、冷蔵庫に冷やしてあったポカリスエットをほんの少しだけ飲んだら
やっぱり、口の周りが痺れ、のどが締め付けられました。
また、昨日までとっても美味しく感じた栗のロールケーキも冷やしていたためか
口にすると痺れ、味覚が変でした。全く美味しく感じられず・・・残念です。

後は、今夜の夕食から服用するゼローダの副作用がどうなるかです。
消化器系症状(吐き気・嘔吐・食欲不振・下痢・便秘・腹痛・口内炎など)や
手足症候群がどのくらいなのか・・・。
心配ですが、少しずつ、様子見ていくしかないですから。

夜になって、冷蔵庫の中のチョコレートを出そうとしたら
ビリビリきました。
また、ちょっとベランダに出てたら、からだが少し冷えてしまったのか
腕の痛みが広がりました。

これからの季節は、冷たい風があたらないように、首元や頭にはマフラーや帽子を
した方がいいですよと看護師さんも言われていました。

そっか・・・脱毛の前に、ビリビリ対策のために帽子デビューですね。(笑)

XELOX + アバスチン療法

私が受ける抗がん剤治療は、XELOX + アバスチン療法 です。
9/7から1クール目が始まります。
副作用がかなりあるので、とてもとても不安ですが・・・。

7日までは、もうネガティブなことは考えず、
好きなことを思いっきりして過ごそう。


日経メディカルオンラインより
「結腸・直腸癌へのXELOX療法が可能に」

2009年9月18日、抗悪性腫瘍薬のカペシタビン(商品名:ゼローダ錠300mg)
オキサリプラチン(商品名:エルプラット注射用50mg、同注射用100mg)
ベバシズマブ(商品名:アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL)に
新たな適応が追加された。
具体的には、これらを併用する「XELOX療法」「XELOX+ベバシズマブ療法」による
結腸・直腸癌(進行・再発例)の治療が可能になった。

カペシタビンは、2003年に承認・発売され、「手術不能又は再発乳癌」
「結腸癌における術後補助化学療法」の適応で臨床使用されている。
癌細胞内で5-フルオロウラシル(5-FU)に変換され抗腫瘍効果を発揮する経口剤である。

ベバシズマブは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と呼ばれる生体内の蛋白質を
標的として、癌細胞の増殖と全身への転移に不可欠な血液補給を遮断する
「血管新生阻害薬」として、2007年に転移性結腸・直腸癌の適応で承認・発売された薬剤である。

オキサリプラチンは、2005年に承認・発売され、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」「結腸癌における術後補助化学療法」を適応に使用されている白金錯体系薬剤である。
なお、オキサリプラチンの使用に際しては、レボホリナート(商品名:アイソボリン)
およびフルオロウラシル(商品名:5-FU)の静脈内持続投与法との
併用療法(FOLFOX4療法)が必須となっていた。

日本では、2006年1月から臨床試験が実施され、XELOX療法及びXELOX+ベバシズマブ療法の有効性と安全性が確認されており、この結果に海外での臨床試験成績が加味されて今回の適応追加となっている。
具体的には、XELOX療法は、従来の標準的治療であるFOLFOX4療法と比較すると、無増悪生存期間は同等でありながら、静注時間が48時間から2時間と大幅に短縮される。
また、ベバシズマブを化学療法(FOLFOX4及びXELOX)に併用すると、化学療法単独時に比べて無増悪生存期間を約20%、有意に延長することが認められている。

今回のXELOX療法およびXELOX+ベバシズマブ療法の承認で、世界標準の癌化学療法の
一つがようやく日本でも認められることになり、患者にとって朗報である。

また、がんサポートサンターでもこの治療に関する記事があります。

抗がん剤治療とは

がんという病気は早期発見であれば、今の医療で完治します。

ただし、私のような進行がんは、治りません。

最初の告知でT先生は言いました。
「あなたのがんは、今の医療では治らない。だけど、延命することはできる。」
「少しでも、再発までの時間を遅らせて、元気で生活できる時間を
長くするために抗がん剤治療をしましょう。」

『延命』って何? そう思いました。

それから、T先生とも何度も話をしたり、他の先生のオピニオンを受けたり、
自分でもがんという病気について、情報や知識を得ました。

がんがCTなどの画像検査で発見されるためには、
1cm位の大きさが必要になります。
このがん細胞が、1cmのがんになるには、10億個の細胞が必要で、
10年くらいの時間がかかるそうです。

もっとも、すべてのがん細胞ががんになるのではありません。
その人の免疫力とか生活習慣などの環境などにより様々で、
がん細胞が活性化しやすい状態であればがんになっていきます。

進行速度のゆっくりしたおとなしいがんもいれば、
あっという間に増殖してしまい猛威を振るがんもいます。

どちらにしても、がん細胞は増殖していきます。
抗がん剤治療では、この増殖を抑制します。
つまり、がん細胞ががんになるまでの時間を先延ばしにする
これが『延命』です。

抗がん剤治療の効果の評価は、奏効果というものがあります。
「この抗がん剤はどのくらい効きますか?」と質問した時に
「そうですね。3割くらいですね」
と医師が言ったとします。
この3割というのは、“3割は治る”ということではありません。

この3割が奏効率と言われるもので、「あなたのがんは、
3割の確率で半分に縮小しますよ。」ということなのです。
しかも、半分に縮小したとしても、延命するという保証はないわけです。
なぜなら、抗がん剤は、がんを縮小させると同時に、生命力も
縮小させてしまうからです。
決して、3割の確率で完治しますという意味ではないのです。

そこで、最近では「延命効果」がないと抗がん剤として認められなくなりました。
たとえば・・・
「○○という新薬を投与すると、しない場合に比べて、2ヶ月延命期間が長くなった」
ということなのです。

しかも、この製薬会社での新薬の評価では、2ヵ月延命できると
「すごい!」となるそうです。
2ヶ月の延命のために、どれだけの副作用と闘わなければいけないのか・・・。

2ヶ月という延命がすごい!のか・・・
それとも、たった2ヶ月なのか・・・

そこで、治療効果は、奏効率よりも50%生存期間で評価した方が
よいとされているそうです。
治療による奏効率が高くても、その後短期間に腫瘍が増大すること
はしばしばあります。
従って、治療効果の評価には奏効率よりも50%生存期間の方が
信頼性が高いとされています。

例えば、奏効率50%で、50%生存期間が14ヵ月の抗がん剤よりも、
奏効率35%で50%生存期間18ヵ月の抗がん剤の方が治療効果が
高いと考えられるそうです。

どちらにしても・・・
再発までの限られた期間、がんの増殖を抑えているわけで
治しているわけではないんです。

そしてもうひとつ・・・抗がん剤に対して、がんには耐性ができます。
耐性が起きると、別の抗がん剤に変えざるをえなくなります。
いわゆるファーストラインからセカンドライン、サードラインとなるわけです。
そして、使える抗がん剤がなくなると・・・「がん難民」となってしまう。

であれば・・・どうしたらいいのか。

完治できないなら・・・延命を限りなく続けていくしかない。
そのためには、抗がん剤のメリット・デメリットを理解し、自分で納得して
抗がん剤治療だけでなく、代替治療と併用していくしかない。

私自身、代替治療そのものに直接がんを治す効果を
期待しているわけでもありません。

標準治療を妨害せず、危険な副作用がなく、QOLの改善に
つながるのであれば、私は、選びたいと思います。

長いがんとの闘いに、苦痛に満ちた闘病生活ではなくて
自分らしいQOLを保った闘病の方が、自分らしく生きられますから。


治療を選択するために

私は抗がん剤治療を否定しているわけではありません。
治療の選択肢を広げて、いろいろな可能性を考えたい。

何も知らないままに、主治医の言われるままに
標準治療というラインにのって・・・。

そして、抗がん剤も効かなくなり、もう治療の手立てがなくなり、
がん難民になってから、他の治療方法を探すのでなく
私は、「最初の治療設計」が大切だと思いました。

治療の選択に必要なことは、「自分が納得できるかどうか」です。

『治療内容に納得できるかどうか』

抗がん剤治療は、外からの力として、がん細胞をたたきます。
でも、抗がん剤は、正常細胞もがん細胞も区別がつきませんから
がん細胞とともに正常細胞にもダメージを与えます。

これが、いわゆる「副作用」です。
副作用が強い患者さんほど、がんの縮小効果が見られた
という症例報告もあるそうです。

つまり、正常細胞へのダメージが強くなければ、がん細胞には効かない。
ということでしょうか?
でも、正常細胞へのダメージが強くなれば、当然、免疫も下がってきます。
そもそも免疫がないために、がんになってしまっているのに・・・。

まず、抗がん剤でがんをたたくというのは、今あるがんへの
局所療法に過ぎないような気がします。
がんは細胞を変化していきます。

であれば、変化したがん細胞にも打ち勝って
再発を延命し、生きていくためには・・・
がんに打ち勝つ自分の力 つまり、免疫を高めたい 
そう思いました。

そこで、免疫力を高める治療法として関心を持ったのが
「高濃度ビタミンC点滴療法」 と
「ANK免疫細胞療法」 でした。

『自分らしく生きられるかどうか』

もし、生きる時間に限りがあるのなら・・・
自分らしく最後まで生きていくことを大切にしたい。

人それぞれに、家族や家庭のあり方、仕事への考え方、
人生において大切にしたいこと・・・
様々であると思います。

私のQOLを考えると、抗がん剤治療における副作用を
今は少なくとも、受け止めきれない自分がいます。

私には、一緒に暮らす家族がいません。
子どもには恵まれず、もう、主人も両親もいません。

兄弟である弟がふたりはいますが、それぞれに家族がありますから。

一緒に暮らす家族がいないということは
これからの治療における副作用があった場合、自宅でひとりで
それを身体的にも精神的にも乗り越えていけるかどうか・・・
とても不安です。

ひとりで暮らしていきながらも、安心して受けられる
治療を選びたい。

そして、私は仕事にとてもやりがいを感じています。
天職なんだろうなぁ・・・と思っています。
副作用に悩むことなく、安心して仕事を続けたい。

実際に、大腸がんの抗がん剤の副作用を考えると
ケアの仕事は無理かと思います。

「やりがいのある仕事をしながら、ひとりでも安心して暮らしていく」

これを、今の私のこれからの生き方の礎にしたいのです。

正直な気持ち・・・
もし、取り切れなかったがんが残っていたなら、やはり、
すぐにでも、抗がん剤でそのがんを小さくすることを
最優先にすると思います。

ただ、どうしても、今あるがんを取り切ってしまったのに・・・
という思いがあります。

そして・・・
一緒に暮らす家族がいたら・・・と思います。
抗がん剤治療の副作用が辛くても、たとえ、何かあっても
家族に助けてもらえる安心がありますから。
プロフィール

さくらのように

Author:さくらのように
仕事にやりがいを感じながら、日々、懸命に生きてきました。
でも、ある日、進行がんを告知され、これからの人生を
がんと向き合いながら、どう生きていくか・・・

何かに向かって懸命に生きるというこは
たとえ、それが叶わなかったとしても
誰かの生きる希望や力になれる

そう信じて・・・。

心からの笑顔いっぱいに生きていきたいと思います。

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